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金パチ先生と海外修学旅行

2011.12.12

武南の金パチ先生と海外修学旅行

『教育旅行研究』という雑誌で本校大森教頭先生が書かれた「豪州修学旅行の記録〜ファームステイで生徒たちの内面に変化が」が掲載されました。

大森先生は、かつて担任をされていた時に、「金パチ先生はいた!」とある大手新聞社に取り上げられたこともある生徒思いの熱い先生です。先生は、生徒の心に働きかけるしかけを考えるのがお上手で、生徒たちが自ら成長していくきっかけのひとつとして、いち早く海外修学旅行に踏み切る決断を下されます。そして、単に「修学旅行で海外へ行く」ということだけでなく、ファームステイを実施したり、修学旅行後の教育活動にいたるまで、海外修学旅行にさまざまな教育的アイディアを織り込んでいらっしゃいました。今までの海外修学旅行における取り組みが披露された論文から、その一部を抜粋してご紹介します。



●ファームステイを取り入れた理由

 平成14年、第10回オーストラリア修学旅行からメルボルンの郊外(カイントン、バララッド)で2泊3日のファームステイを取り入れた。特に英語を学ぶうえで貴重な体験ができることを考え、改良を重ねながら今年で9年になる。本校が定めている前記のオーストラリア修学旅行の意義と目的はこのファーム ステイをすることによって大部分が達成できると考えたのも理由のひとつである。

●ファームステイの目的
.ーストラリアの人々と共に暮らし、その生活にじかにふれることによって、日本との生活や文化の違いを肌で体験できる。
家庭で使われている言葉はすべて英語。ネイティブ・スピーカーを相手に英会話を試してみる絶好の機会である。
1儻譴鯱辰好ース上フリア人と出会い、もっと英語で考えを伝えたいという意識がその後の英語学習に大きな動機づけになる。
ぅーストラリアのファームは規模がとても大きく、ファーム毎にさまざまなファーム・アクティビティ体験ができる。
 


 このような目的を達成するには、1ファームに少人数の生徒をステイさせることが有効である。1ファームに多人数の生徒をステイさせては英語を使わない生徒が出てくる。したがって2〜4名と少人数を要請した。
 帰国後、生徒に約100の全ファームの「ファームステイ中のアクティビティ」を作成してもらうと、全ファームでの生活の様子が手に取るようにわかる。仲介業者の厳しい基準に沿ったファームが選ばれていると聞く。
  たとえば、ゲストルームをはじめ、ベット、バス、食事内容などの統一基準、そして飲酒、喫煙をさせないなどの生活指導、アレルギーをもっているかなどの健康上のことの確認、ホストに知らせておくべきことなど保護者署名のもと英文にして提出している。

 



●ファームでの生活 (生徒の日記から)
 以下はある女生徒のファームステイ日記である。
【ファームステイ1日目】
メルボルンに着いて最初に向かったのはホストファミリーと対面する歓迎会の会場。どのファミリーの家にステイするのかとか、仲良くなれるかなあとか胸はドキドキ。私たちのファームはバララツドから約1時間離れたところ。迎えの車の中での会話に苦労した。ジェスチャーで伝わると思っていたが全く伝わらず、もっと英語を勉強しておけばよかったと思った。到着後、広い牧場を案内をしてくれた。ホストファミリーは皆優しく、なかなか話すことのできない私たちにたくさん質問をしてくれてリラックスさせてくれた。夕食後はお土産として持参した折り紙や自己紹介のために作成したミニアルバムを見たりして、ファミリーと少し距離が近くなった気がした。
【ファームステイ2日目】
 とても充実した1日だった。朝ゆっくりし、昼食後、町のスーパーマーケットへ買い物に行った。どの商品も日本のものよりずっと大きくてびっくり。その後、近くのファームへ出かけ、羊の毛刈りを見せてもらった。飼われていた羊は毛刈りされることがわかるのか、人が近づくと逃げてしまう。その帰りに 小高い山に登るとメルボルン周辺が一望できた。ファームに帰ってからの夕食は外でバーベキュー。ホストファミリーとは打ち解けて電子辞書を使いながら話をすることができた。庭から見上げた満天の星、とても感動した。東京では星空を見ることができないと言ったら逆に驚かれてしまった。ファームステイは明日で終わってしまう、優しかったパパやマ マとお別れしなければならないんだと、と思うととても寂しくなった。
【ファームステイ3日目】
 ファームのパパやママとお別れの日が来てしまった。この2日間すごく仲良くなれたし、私たちを自分の娘のように可愛がってくれてうれしかった。もっとここにいたい。会話が続かなくても、自らどんどん会話を広げてくれて楽しませてくれた。私の話すことが出来ないと言う心配や不安は、やがてどこかに吹っ飛んでいた。温かく受け入れてくれたこと感謝している。お別れ会場では涙が止まらず別れるのが辛かった。みんな泣きながら別れた。もっともっと英語を勉強していつかまた来ようと思う。

●事後の取り組み

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 ファームの対応が良かった89%  
 ファームの食事はおいしかった82%
 ファームの設備が良かった78%
 ファームステイをして良かった87%
 などと高い評価が得られた。
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 (例1 活動)
 1日日 ドライブ、教会、ファーム散策、ヤギ搾乳、天体観測
 2日目 ブタやウマへの餌やり、他のファーム見学、カンガルー、
     車とトラクターの運転、羊の毛刈り、搾乳、天体観測
 3日目 お別れ

 (例2 食事)
 1日目 昼食(サンドウィッチ)、
    夕食 (肉、肉、肉)
 2日日 朝食(シリアル、ベーコンエッグ、トースト)
    昼食 (ミートパイ)
    夕食 (肉、肉、肉)
 3日日 朝食(シリアル)

ファーム体験での生徒の感想
・もっと英語を勉強しておけばよかった。
・オーストラリアの人々の生活を体験できてとてもよかった。
・日本と違う環境で、驚くことばかりだった。
 様々な違いを学んだ。自分たちと違う文化の良さを学んだ。
 二言菓が通じあえることは素晴らしい。伝わったときの喜びが大きかった。
・自分の国についてもっと知っておけばよかった。視野を世界へと広げることが大事だと思った。
・雨が降らず、草木などが枯れて自然環境が崩れてきている。
・シャワー使用時間を制限していた。ここでは水が貴重だ。
・フレンドリーだった。自分はもっとオープンに生きようと思った。
・世界は広い。知らないことがたくさんある。
・家庭内での子どもの躾が厳しかった。
・ハエがいっぱいいた。コアラやキツネやポッサムなど野性の動物もたくさん見ることができた。

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●おわりに
修学旅行の役割は「平素と異なる環境で、集団行動を通して、人間的触れ合いや社会性の育成を図る」である。最近の生徒たちに見られる傾向として、人間関係がなかなか結べないし作れない。教室に入れない生徒もいる。ファームステイ斑や班別行動の班づくりでグループに入れない生徒が出てくる。社会性に弱い。こういう生徒たちの変化の中で、だからこそ、修学旅行のような取り組みは、人間関係を築く、うえでも大変重要になっている。生徒が記した「ファームでの生活」や「ファームステイ感想」を読むと、生徒は人との出会いや景観・異文化に出会い、接したときに驚きや感動が起こり、それを心に刻んでいる。日本から離れてオーストラリアの環境、言語や習慣などの文化の違いを理解し、自分自身の学習的な課題と目標を明確にしている。特に班行動や見学の目標などをクラスの仲間と共に創りあげ、その構成員の一員として参画したことによって、各人が主体的に考え、表現し、行動することをこれからの生活で大いに期待したい。これまでの修学旅行はどちらかというと教師の押しっけ感が強かった。教師も学校を離れた場面で生徒と接することによって、学校では見られない生徒の側面に接し、さらに生徒理解が深まり、各生徒の今後の指導の方向性も定まっている。